口腔外科の概要 Overview of oral surgery
口腔外科は、虫歯や歯周病、入れ歯治療などの一般的な歯科診療以外のお口のトラブルに対応する診療科です。当院では、親知らずの抜歯や口内の粘膜にあるできものの治療、粘膜や舌にできた嚢胞などの摘出と病理検査などを行っています。検査結果により、口腔がんなど院内で治療できない病変が見つかった場合には、専門の医療機関へご紹介いたします。
当院では、豊富な臨床経験のある
歯科医師が口腔外科治療を
担当しています
当院の院長は、長年にわたり医学部付属病院の歯科口腔外科に勤務してきており、一般的な歯科医院を含む他の医療機関では歯科治療が困難な患者さんを、数多く診てきた経験豊富な歯科医師です。大学病院を紹介されることが多い埋伏した親知らずの抜歯はもちろん、発見が難しい口腔がんの診断、外科処置の際の急な出血にも、十分対応可能です。
大学病院まで出向くのが難しい方や、外科処置に強い不安を抱いている方も、ぜひ当院へご相談ください。皆さんが安心して処置を受けられるように、確かな技術と親身なサポートで、不安なお気持ちに寄り添います。
口腔外科で扱われる主な病気 DISEASE
- 親知らず
- 外傷
- 口内炎
- 口腔がん
- 粘液嚢胞
- 顎関節症
- 顎変形症
嚥下内視鏡検査について
患者さんが食べ物を口内に入れて咀嚼し、飲み込み、食道へ送り込むという動作をスムーズに行えない状況を、嚥下障害といいます。
嚥下内視鏡検査は、鼻腔ファイバースコープという内視鏡を咽頭へ挿入して、食べ物を飲み込む様子を観察するものです。この検査の結果をもとに、嚥下訓練の計画を立て、今後の食事形態や食事中の姿勢の調節を行っていくことで、口から食べる機能の回復を目指します。
親知らずの抜歯について
親知らずとは、前歯から数えて8番目の奥歯です。10歳頃から顎の中で形成が始まり、歯茎の上には20歳頃に生えてきます。そもそも親知らずができない先天性欠如というケースもあり、4本全てが生えてくるとは限りません。
また、近年では顎の成長が未発達なために親知らずが真っ直ぐ生えてこられないことが多く、歯茎の中で横向きに生えてくるケースや、斜めに生えてきて部分的にしか歯茎の上に出てこられないケースも少なくない傾向があります。
親知らずはいつ抜いたら良いの?
親知らずは、生え方によって抜いた方が良い場合もあれば、抜かなくても良い時もあります。親知らずが真っ直ぐに生えてきており、歯磨きがきちんとできていて虫歯や歯周病の発生リスクが低い、周囲の歯列へ悪影響を与えない、噛み合わせに問題がないという場合には、抜歯をする必要はありません。
親知らずが骨の中で横向けに生えている埋伏歯と呼ばれる状態であっても、痛みや腫れなどがなければ経過観察をするのが望ましいでしょう。
また、中途半端に生えており、歯茎が炎症を起こしている、歯が磨きにくくて手前の歯が虫歯になっているという場合は、親知らずを抜いてから歯の治療をします。この場合、歯茎近くで虫歯ができていて治療が困難になる場合があるため、早急な対応が必要です。
親知らずの症状
親知らずが斜めや真横に生えている場合には、歯と歯が重なり合って 食べかすが詰まる、歯磨きがしにくくて 歯垢が溜まるなどの問題が発生します。そこから、虫歯や歯周病のリスクが高まり、歯の痛みや歯茎の腫れに繋がっていく傾向があります。
その他、親知らずが手前の歯を押して炎症を起こす、歯並びが悪くなっていくなどが、親知らずの主な症状です。
治療の流れ FLOW
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カウンセリング
患者さんが親知らずの抜歯を希望される場合、問題なく処置が行えるタイミングを相談します。抜歯後に重要な会議や旅行、イベントなどがなく、できればゆっくりと休める日を選ぶ ことをお勧めします。
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精密検査
親知らずがスムーズに抜ける状態かどうかを、視診とレントゲン検査、場合によっては歯科用CT検査で口内状態を把握します。親知らずは根が3本から4本あり、単に引っ張っただけでは抜けないケースがあるためです。
また、斜めや横向きに生えている場合、顎の骨を通る太い血管や神経に触れており、抜歯後に大量出血したり、麻痺が残ったりというリスクも発生します。歯茎に重度の炎症がある場合、クリーニングや歯石除去を行って、症状の鎮静を図ります。 -
抜歯当日
歯茎に対する浸潤麻酔と、親知らずの太い神経を麻痺させる局所麻酔の2種類を行います。歯が真っ直ぐに生えている場合にはそのまま抜歯に入りますが、完全に生えていない場合には歯茎を切開し、歯を覆っている骨を削って掘り起こします。
また、歯の冠部分を分割した後、根を引っ張っても動かない場合には、歯肉を縫合して2カ月~3カ月程度待ち、手前に動いて来るのを待って抜歯を行います。 -
翌日の消毒・経過観察
縫合を行った場合、抜歯の翌日に改めてご来院いただき、抜歯をした部分の消毒と経過観察をします。
患部の傷が深い場合、その後も何週間かごとに経過を見て、正常に治癒されていることを確認していきます。抜歯部分が治癒するためには、歯を抜いた骨の部分に血餅と呼ばれる 血の塊ができていることが重要です。
口内が気になって頻繁にうがいをしたり、舌で縫合部分を触ったりしていると、血餅がはげ落ちる・細菌感染するなどのトラブルのもとになります。処方された抗生物質をしっかり服用して、しばらくの間は激しい運動や飲酒も控えましょう。
静脈内鎮静法は抜歯の痛みや
恐怖感を抑えることが可能です
親知らず抜歯を行う際は、浸潤麻酔と部分麻酔を併用しますので、治療中に痛みを感じる事はありません。ただ、骨への振動等、手術の様子を感じとることで、恐怖や不安を感じることもあるかと思います。
そのため、当院では患者さんのご希望により別料金で静脈内鎮静法(セデーション)という"うたた寝"に似た状態をつくり、不安や緊張を感じさせない麻酔法もご利用いただけます。点滴で鎮静剤を投与して"うたた寝"に似た状態をつくり出すことで、そうした治療中の不安や恐怖感を緩和することができます。
その他口腔外科の治療内容
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口腔の腫瘍
口内にできる腫瘍は、ほとんどの場合が 命に関わらない良性のものです。口内の粘膜や舌に生じる腫瘍と顎の骨に生じる腫瘍があり、転移することはありません。まれに良性腫瘍が再発を繰り返したり、悪性化したりするケースもあります。
軟組織の良性腫瘍は、切除することで治療が可能です。なお、将来的にがんに変わる可能性がある前がん状態の腫瘍や、命に関わる 悪性腫瘍の場合もあります。そういった診断が出た時には、大学病院などの医療機関をご紹介させていただき、早急な受診をお勧めしております。 -
顎顔面の外傷
お口の中やお口周辺にけがをした場合も、口腔外科の対応範囲内です。転んだりぶつけたりして唇や頬が切れた、歯が欠けた、歯が抜けた、顎が外れたなど、お口周りのトラブルをご相談ください。
また、歯が抜け落ちてしまった場合には、その歯を歯の保存液や生理食塩水、そういったものが用意できない場合には口内に入れて、すぐに歯科医院へ受診してください。早くご相談いただけますと、元通りの状態に復元できる可能性が高くなります。 -
口腔粘膜疾患
口腔粘膜疾患とは、口内炎・口腔カンジダ症・白板・歯根囊胞・粘液囊胞などの総称です。口内炎一つとっても、その原因はウイルス性や自己免疫疾患、頬や唇を咬んだ部分が細菌感染した、矯正器具や義歯のとがった部分が当たった刺激でできたものなど、その原因は様々です。
中には他の全身疾患の症状であったり、口腔がんであったりと 口内炎との判別が難しいケースもあり、正確な見極めが必要とされます。 -
顎関節症
お口を開閉する際、顎の関節から音が鳴る、痛みや違和感がある、大きく開きにくい、ずれる感覚があるといった症状がある場合、顎関節症の可能性があります。
顎関節に痛みがある場合には 痛み止めの処方を行う のが一般的ですが、筋肉が痛む時には筋弛緩剤の処方によって、筋肉の緊張を和らげます。その後も痛みが続くのであれば、マウスピースを用いて顎にかかる負担を緩和することで、顎関節症の症状改善が期待できます。 -
骨隆起と入れ歯
上顎や下顎の骨の一部が突起物のように膨らんでいる状態を、骨隆起といいます。年単位で段々と隆起が大きくなっていくケースが多く、大きくなるまで気が付かれない方がほとんどです。
骨が盛り上がった部分の歯茎が押し上げられて薄くなるため、入れ歯を装着して噛むたびに傷ができて、痛みが出る原因となります。そのため、新しく入れ歯を作る前に隆起した部分を取り除くことが大切です。
口腔がん・口腔内検診システム ORALOOK(オーラルック)
口腔内の異常をチェックするための口腔がん・口腔内検診システム機能を装備した機器です。従来の方法では触診や視診を行ったり、ヨード染色などの手法を使用して口腔内の異常を見つけましたが、この医療機器はお口の中に特殊な光を照射するだけで痛みや違和感なく、目視では見えない粘膜の変化や病変組織を発見することができます。
低侵襲なので患者さんの負担を最小限に抑えつつ、口腔内の異常をより安全かつ正確に検出することが可能となりました。また、検査にかかる時間も5分程度と大幅に短縮できるようになりました。