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久里浜駅前マリン歯科ブログ BLOG

骨粗鬆症と薬剤関連顎骨壊死と歯科

こんにちは。院長の小野沢です
年末年始にどのようにお過ごしになるのか
ご予定はお決まりでしょうか。

普段よりも少し豪華な食事を楽しもう
という方もいらっしゃることと思います。
美味しいものをたくさん食べて、
冬の寒さを乗り越えていきましょう。

さて掲題にもあります骨粗鬆症とは、
骨の量(骨量)が減って骨が弱くなり、
骨折しやすくなる病気です。

日本には約1000万人以上の
患者さんがいるといわれており、
高齢化に伴ってその数は増加傾向にあるため、
身近にみられる疾患と言えるでしょう。

骨粗鬆症の薬物治療には以下のものが主に挙げられます。

骨代謝調整薬…小腸からのカルシウムの吸収を促進する
(活性型ビタミンD3製剤など)

骨形成促進薬…骨の形成を助ける
(PTH製剤など)

骨吸収抑制薬…骨の吸収を抑える
(カルシトニン薬、エストロゲン、ビスホスホネート製剤、
分子標的薬、選択的エストロゲン受容体調節薬など)

これらの薬剤から、
患者さんの骨の状態や原因によって
適切なものを選択しますが、
骨粗鬆症の患者数が増えているため、
これらの薬剤を使用している患者さんも増えています。

この中で特に骨吸収抑制薬
その使用の前に歯科を受診する必要があるため
少しお話したいと思います。

まず高用量の経静脈ビスホスホネート
(bisphosphonate, BP)製剤を
使用している骨に転移した悪性腫瘍および
骨粗鬆症患者で難治性の顎骨壊死が
発症することが初めて報告されました。

顎骨壊死とは、あごの骨の組織や細胞が局所的に死滅し、
骨が腐った状態になることです。
その出現頻度はまれではありますが、
典型的には歯肉の部分の骨が露出します。

無症状の場合もありますが、あごの骨が腐ると、
口の中にもともと生息する細菌による感染が起こり、
あごの痛み、腫れ、膿が出る、歯のぐらつき、
下くちびるのしびれなどの症状が出現します。

2004年Ruggieroらは、
低用量経口BP製剤使用の骨粗鬆症患者でも
難治性骨 髄炎あるいは顎骨壊死が
起こることを報告しました。

さらに抗receptor activator of nuclear factor κB ligand
(RANKL)抗体である
デノスマブ(denosumab, Dmab)製剤は、
BP製剤とは骨吸収抑制の作用機序が異なるため
顎骨壊死は発現しないと想定されていましたが、
高用量と低用量双方において顎骨壊死が発症しました。

BP製剤によるものは
bisphosphonate-related osteonecrosis of the jaw(BRONJ)、
Dmab製剤によるものは
denosumab -related osteonecrosis of the jaw(DRONJ)、
この両者を合わせて
antiresorptive agent-related osteonecrosis of the jaw
(ARONJ)と呼ばれるようになりましたが、
新たにベバシズマブ(bevacizumab)や
スニチニブ(sunitinib)を含む
血管新生阻害薬等による顎骨壊死まで報告され、
2014年米国口腔顎顔面外科学会
(American Association of Oral
and Maxillofacial Surgeons, AAOMS)の
ポジションペーパー(AAOMS 2014)3)では
medication-related osteonecrosis of the jaw
(MRONJ)と記載されました。

近年BP製剤は投与間隔の長い
(1週間、 1 か月あるいは1年)製剤が開発され、
低用量でも経口のみではなく、
点滴の経静脈製剤も出てきています。

近年、骨形成促進作用と骨吸収抑制作用の
デュアルエフェクトを有する
抗スクレロチン抗体の
ロモソズマブ(romosozumab)でも
顎骨壊死が報告されており、
顎骨壊死に関連する薬剤および
その服薬形態はかなり多様化しております。

顎骨壊死は、
BP製剤では高用量の方が
低用量より発症頻度が高く、
Dmab製剤についても
同様の傾向が確認されています。

また、累積投与量についても
高用量と低用量いずれにおいても
長期投与に伴い発生リスクは増加します。

薬剤単独でも生じますが、
以下のような治療を受けている場合に
生じやすいとされています。
1)がんに対する化学療法、ホルモン療法
2)副腎皮質ステロイド薬の使用
3)抜歯、歯槽膿漏に対する外科的な歯科処置
4)局所(あご付近)への放射線治療 などです。

さらに、顎骨壊死は、
口の中が不衛生な状態において
生じやすいとされています。

多くの臨床および基礎的研究において
細菌感染とMRONJ発症との
因果関係が報告されており、
口腔衛生状態の不良や歯周病、
根尖病変、顎骨骨髄炎、
インプラント周囲炎などの
顎骨に発症する感染性疾患は、
MRONJの明確なリスク因子とされています。
これらのリスク因子が複数重なった場合は、
より注意が必要となります。

従って、骨吸収抑制薬の投与を受けている患者さんは、
定期的に歯科を受診し、
歯ぐきの状態のチェックを受け、
ブラッシング(口腔清掃)指導、
除石(歯石の除去)処置などを
受けておくことが大切です。

その際には、
骨吸収抑制薬の投与を受けている旨
歯科医師にお伝えください。

最後にMRONJは一度発症すると
完全に治癒するのは困難なので
日ごろの予防が極めて大切ですし、
できれば骨吸収抑制薬の使用前に
歯科医院でリスクを軽減するように
治療を勧めてください。

写真は大学病院時代に受け持った患者さんで
上顎骨が大きくMRONJのため露出していました。

痛みはないが全身状態が悪く
壊死した骨の切除などの手術は
できなかったため感染が起きないように
ご自身でも露出した骨を
ブラッシングしていたところ、
腐骨が分離して腐骨となった
上顎骨が自然脱落しました。

脱落まで長い時間がかかったため
鼻腔と口腔は繋がることなく
歯肉がしっかりできあがり
鼻腔と上顎洞は歯肉でフタされ、
問題なく生活を送れるようになりました。

これからも当ブログでは歯科医師の視点から、
皆さんの健康に役立つ情報を
随時更新してまいります。

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